さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月16日(月) にゃん氏物語 夕顔21(ゆうがお完)

光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔21

五条の家では夕顔の行方がわからず 探す方法もなかった
右近まで音信不通なのを不思議で心配していた 確かではないが通って
来ていたのは源氏の君だろうと思ったから 惟光に何か聞き出そうと
したが 全く知らない様子 相変わらず女房の所に恋の手紙が送られる
ので 探すのは絶望的で 主人が消えたのは夢ではないかと思った
もしかしたら地方官の子息など好色男が 頭中将を恐れて父の任地へ
連れて下ってしまったのか と想像する

この家の主人は西の京の乳母の娘だった 三人娘がいたが 右近だけ
他人だったので知らせてもらえないのだと 夕顔を恋しがった
右近は夕顔を死なせて非難されるのが辛い 源氏も今更 夕顔の情人が
自分である秘密を知らせたくなかった それでお嬢さんの消息も聞けず
月日はすぎて行く

源氏はせめて夢にでも夕顔を見たいと思い続けていたが 法事の次の夜
ほのかに某院で枕元に出た女と同じ者を見た これで荒廃した家に住む
妖怪が源氏に恋をしたために こんなことになった ということになり
源氏自身も随分危険だったと知り 恐ろしいことであった

伊予介が十月の初め四国に下る 空蝉を連れて行くことになっていた
普段より多くの餞別が源氏から贈られる その他 特別な贈り物や
ついでに空蝉の抜け殻と表現した夏の薄物も返した

『逢ふまでの形見ばかりと見しほどにひたすら袖の朽ちにけるかな』
逢うまで形見の品と持っていましたが すっかり涙で駄目になりました
細々の手紙の内容は省略 使いは帰るが空蝉は小君を使いに返歌した

『蝉の羽もたち変へてける夏ごろもかへすを見ても音は泣かれけり』
蝉の羽の衣替えも終わった後 夏の衣は返されても泣き声ばかりです
源氏は空蝉を思うと 普通と違う態度を取り続けた女もこれでお別れと
嘆いて 運命の冷たさを感じられた
今日から冬の季節 それらしく時雨がこぼれ 空の色も身に染みた
一日中 源氏は物思いで

『過ぎにしも今日別るるも二みちに行く方知らぬ秋の暮れかな」
死んだ人も 今日別れる人もそれぞれの道へどこに行くか解からない
秋の暮れであるなあ
秘密の恋をする人の苦しさが源氏にわかったであろうと思われる
こうした空蝉とか夕顔とかいう華やかでない女と源氏の恋の話は源氏が
非常に隠したいと思うので最初は書かなかったが 帝の子だから 恋人
までもが皆欠点が無いのは作り話だからだと言う人がいたから
それに対して書いたのだが なにか源氏に済まない気がする


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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