さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月18日(水) |
にゃん氏物語 若紫02 |
光にゃん氏訳 源氏物語 若紫02 「近くでは播磨の明石の浦がよろしいです 特別変わったよさは無いが そこから海のほうを眺めた景色はどこよりもよいです 前播磨守入道が 娘を大切に住ませている家はたいしたものです 二代前は大臣の家筋で もっと出世するはずの人ですが 変わり者で人付き合いもせず 近衛の 中将を捨てて 自分で申し出て播磨守になった しかし国の人に反抗され 不名誉だから京へは帰れないと言い その時に入道しました 坊様なら坊様らしく山奥に行って住めばいいのに 名所の明石の浦などに 家を構えています
播磨には坊様にふさわしい山が多いですが 変わり者に見せるためかと 言えば そういう訳でもなく 若い妻子が寂しがるからとの思いやりです それで 随分贅沢な家になっています 先日 父の所に行ったついでに どんな感じか見たくて寄りました 京の都では不遇でしたが今の暮らしは 素晴らしく 地方長官をしてる時に財産ができて 余生も心配無い準備が 万全です その一方では仏弟子として よく修行も積んでいる様です あの人は入道してから 本当の価値が出てきた人です」と申し上げると
『その娘は どんな感じ』と聞く 「無難で悪くないです 代々の長官が 特別な敬意で求婚しますが 入道は承知しません 自分の一生が不遇 なので 娘の将来に理想をもっている もし自分が死んで実現できず 希望しない結婚をするようになった時は海に身投げしろとの遺言です」 源氏は この播磨の変わり者の入道の娘がおもしろく思った
「きっと竜宮城の王様のお后になるんだろう 気位が高い 困り者だ」と 言う者もいて人々は笑った こんな話しをしていた良清は現在の播磨守の 息子で六位の蔵人だったが 五位になって役から離れた者である 他の者は「好色だから 入道の遺言を破る自信があるんだろう それで しょっちゅう訪問に行くのだろう」と言う 「でもどうかな どんなに 美しくてもやはり田舎者だろう 小さい時から暮らして 頑固な親だし」 とも言う 「しかし母親は立派な人だ 若い女房や童女 京のよい家に いた人などを縁故を頼りに集めて眩しく育てているらしい ただの田舎娘 になっては満足しない訳で 娘は相当価値のある女だと思う」誰かが言う
源氏は『なぜ竜宮の王様のお后まで思い込むのだろう そうでないと自殺 させる頑固さは 他から見ていい気はしない』と言いながら 好奇心ある 様子だ 平凡でない事に興味を持つ性格を知る家司は 源氏をそう見た 「もう暮れ近くで 今日は病気が起こらないでしょう 早く帰られては」 と従者が言ったが 寺で聖人が「もう一晩 私にお祈りさせてもらって それから帰るのがよろしいでしょう」と言った 皆も賛成した 源氏も このような旅で寝ることは はじめてなので嬉しくて 『では 帰りを明日に延ばそう』と言っていた
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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