さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月20日(金) |
にゃん氏物語 若紫04 |
光にゃん氏訳 源氏物語 若紫04
そうしている時に僧都があちらの座敷から来た 「この座敷はあまりにも開け放しです 今日に限って こんな端にいた のですね 山の上の聖人の所へ源氏の中将が瘧病のまじないに来た のを たった今聞きつけました 随分お忍びで来ましたから知らなくて 同じ山にいるのに 未だにお見舞いにも行ってません」と僧都は言った 「大変 こんな所を誰かに見られたかしら」と言い 御簾はおろされた 「世間で評判の源氏の君を この機会に見せてもらってはどうですか 俗世間と別れた僧たちでも あの方を見ると この世の憂いを忘れ 寿命が延びる気がする美貌だ 私はこれからお見舞の挨拶をします」
僧都が座敷を出ていく気配なので 源氏も寺に戻った 源氏は思った 自分は可憐な人を見つけた それで自分と一緒に来た若い連中は旅を したがる そこで意外な人を見つけるのだ たまたま京を出ただけで こんな思いがけないことがあったので源氏は嬉しかった それにしても 美しい子である どんな身分の人だろう 逢い難い恋しい人の代わりに 慰められるなら 迎えたいと源氏は強く思った
寺で横になっていると僧都の弟子が来て 惟光に逢いたいと申し入れた 狭い場所なので惟光に言う事が源氏にもよく聞えた 「私達の坊の奥の寺に立ち寄った事を たった今聞きました すぐに ご挨拶するべきですが 私がこの山にいるのを承知の貴方様が素通り したのは 何か気に入らない事があるのかと遠慮する気持ちもあります お泊りも設備が十分ではないけれど当坊でさせていただきたいです」 という 使いが伝える 僧都の挨拶である
「今月の十何日ごろから 瘧病にかかっていましたが 度々発作で我慢 できずに 人の勧め通り山に来ましたが もし効験がなかった時には 僧の不名誉ですから お忍びで来ました そちらへも伺うつもりです」 と源氏は惟光に言わせた まもなく僧都が訪問してきた 尊敬される 人格者で 僧であるが貴族出身の この人に軽装で逢うのを 源氏は なんとなく恥ずかしい 二年越しのやまごもり生活を語ってから 「僧の家は皆寂しくみすぼらしいですが ここよりは少し涼しく綺麗な 水の流れも庭にはありますから お目にかけたいと思います」
僧都は源氏が来て泊まることを熱心に勧める 源氏を知らない あの女の人達に とても評判だと宣伝していた事を思うと おじけづく のだが 心を惹いた少女を詳しく知りたくて源氏は僧都の坊に移った
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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