さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
目次へ|←遡る|時の流れ→
2002年12月21日(土) |
にゃん氏物語 若紫05 |
光にゃん氏訳 源氏物語 若紫05
言葉通り庭の作り一つとっても優美な山荘だった 月は出ない頃だから 庭の水の流れ際にかがり火を焚き 燈篭を吊らせてある 南向きの室を 美しく整えて源氏の寝室ができている 奥の座敷から緩やかに薫る薫香 と仏前からの名香が混じり漂っている山荘に 源氏の君の良い雰囲気が 加わり華やかである 女たちも華やかに思った
僧都は この世の無常と来世に期待する楽しみを源氏に説いて聞かせる 源氏は自分の罪深さを自覚し来世での罰を考えると こんな出家生活も したいと思うが そう思いながら夕方に見た貴女が心にかかって恋しい
『ここに来てるのはどなたですか その方たちと自分は縁があるという 夢を私は見ました 今日こちらに来て そのわけが分かる気がします』 と源氏が言うと「予期しない夢の話ですね 知っても きっとがっかり するでしょう 前の按察使(あぜち)大納言は ずっと前に亡くなった ので知らないでしょう その夫人が私の姉で 未亡人になって尼になり 最近は病気で 私が山に こもりきりなので心細くて来ているのです」 と僧都は答えた
『その大納言にお嬢さんがいたと聞いてますが それはどうなりました 私は好色から言うのではないです 真面目に聞いているのです』 少女が大納言の忘れがたみと想像して源氏が言う 「娘が一人だけいました もう亡くなって十数年になります 大納言は 宮中に入れたくて とても大切に育てていましたが その前に亡くなり 未亡人が一人で育てているうちに 誰の手引きか兵部卿の宮が通って 来るようになりました 宮の本妻は権力のある夫人でやかましく言われ 私の姪は気苦労が多くて 物思いばかりして亡くなりました 物思いで 病気になる事を 私は姪を見て よくわかりました」などと僧都は言う
そうなると少女は 前の按察使大納言の姫君と兵部卿の宮の間の子 に違いないと 源氏は解かった 藤壺の宮の兄君の子だから藤壺に 似ているのだと思うとますます心が惹かれていく 身分も非常によい 愛する者を信じない疑い深い女ではなく 素直な子を将来の妻として 教養をつけていくのは楽しみだ 直にそうしたい気持ちに源氏はなった
『お気の毒な話です その方には忘れ形見はなかったのですか』 さらに 少女が誰か明確にしようと源氏は聞いた 「亡くなる頃に生まれました それも女なのです その子が姉の気を 休めません 姉は年を取ってから孫娘の将来ばかり心配しています」
夕方見た尼君の涙を源氏は思い出す『変なことを言うと思うでしょうが 私にその子を預けてくれるよう話をつけてもらえませんか 私は妻には 理想論がありまして 今結婚はしていますが 普通の夫婦生活は私には 難しくて一人暮らしばかりしています まだ年が不釣り合いだと常識的 には 失礼な話だと思われるでしょうが』と源氏は言った
さくら猫にゃん
今日のはどう?
|