さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月25日(水) にゃん氏物語 若紫09

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫09

源氏は岩窟の聖人をはじめとし 読経した僧たちへのお布施類 料理の
詰め合わせなどを 京へとりに行かせていたので それらが届いた時
山仕事の下級労働者までもが皆 相当な贈り物を受けた なおも僧都の
お堂で誦経してもらうお布施をした 源氏が山を出発する前に
僧都は姉に源氏から頼まれた話をしたが
「今は何ともお返事できません ご縁があるなら 四〜五年して改めて
言ってくれればいい」と尼君は言うだけでした
源氏は昨夜と同じような返辞を僧都から伝えられ 気持ちが理解されず
残念だった 手紙を僧都の召使の小童に持たせた

夕まぐれほのかに花の色を見て今朝は霞みの立ちぞわずらふ
昨日の夕暮れ 山が霞に覆われた時 わずかに美しい花を見たので
今朝の 霞みの立つ時に 立ち去ることは難しく思われます

まことにや花のほとりは立ち憂きと霞むる空のけしきをも見ん
本当に花のそばを立ち去りにくいのですか ぼんやり霞むような
気持ちの態度にしたものを 見たいですね と返歌はこうでした
貴女らしい上品な筆跡で 飾り気なしで無造作に書かれていた

ちょうど源氏が車に乗ろうとする頃 左大臣家から どこへ行くとなく
源氏が京を出かけたと言われ 迎えの家司たち ご子息たちなど大勢
来ていた 頭中将 左中弁 その他の公達(ご子息)も来ていた
「こうした旅行にお供をしようと思っていたが 知らせがなかった」
など恨む 「美しい花の下で遊ぶ時間もなくすぐ帰りのお供するのは
惜しくて物足りないです」とも言っていた

岩そばの青い苔の上に公達は並び揃って座り 再び酒盛りが始まった
前に流れる滝水の様子も趣のある場所だった 頭中将は懐の横笛を
出して吹き澄ます
弁は扇を打ち鳴らし「葛城の寺の前なるや 豊浦の寺の西なるや」
とい歌を歌っていた この人達は普通の人より優れているが
悩ましげに岩に寄りかかっている源氏の美に比べて優れた人はいない
いつも吹く役の随身が篳篥:ひちりきを吹く
わざわざ笙の笛を持ちこむ風流好きもいた

僧都が自分で琴:七絃の唐風楽器を運び 「これをちょっと弾いて
山の鳥に音楽というものを 教えてあげてください」と熱望するので
『私は病気で調子が悪いが』と源氏はいいながら 快く弾いて
これで閉めて皆帰った 名残惜しく思い 山の僧たちは皆涙した


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