さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
目次へ|←遡る|時の流れ→
2002年12月26日(木) |
にゃん氏物語 若紫10 |
光にゃん氏訳 源氏物語 若紫10
室内では年寄りの尼君主従など かつて源氏のような人に出会った 事がないような人ばかりなので 源氏の姿も弾く琴の音も この世の ものとは思われないとの噂だった 僧都も「何の因縁でこんな日本の 末世に人として生まれ 不自由に生きると思うと とても悲しい」 と言い 源氏の君を思い涙をぬぐった
兵部卿の宮の娘は 子供心に源氏が美しいと思って 『宮様より お姿がりっぱです』などと誉めた 「では あの方のお子様になられませ」と女房がいうと 頷き そうなってもいい表情をした それからは お人形遊びをしても お絵描きしても 源氏の君というものを描き それに美しい衣装を 着せて大切にしている
帰京した源氏は まず宮中に上がり 病気中の話をいろいろした ずいぶん痩せてしまったなと 帝は言い 源氏を気遣った 聖人の霊験あらたかな祈祷力などの質問もあり詳しく申し上げると 「阿闍梨になってもいいだけの資格がありそうだ 名誉を求めず 修行一心に来た人なのであまり知られていないのだろう」
と敬意を表した 左大臣も御所に来ていて「私もお迎えに行きたく 思っていましたが お忍びの時は迷惑になるだろうと遠慮しました まだ一日 二日は静かに休んだほうがよろしいでしょう」と言い 「ここからは私が送ります」と言ったので 帰る気はなかったが 仕方なく同行した 自分の車に乗せて左大臣は体を小さくしていた 娘が可愛いあまりに これぼどの誠意を見せてくれるのだと思うと 左大臣の親心に 源氏は感動するのであった
左大臣家でも戻ってくるだろうと期待して 用意がされていた しばらく見ない源氏の目には美しい家がさらに磨き上げられて見えた 源氏の夫人は他の座敷に隠れて出てこない 左大臣が色々なだめ やっとのこと源氏と同席させた まるで絵に描いた姫君という感じで 綺麗に飾られ 行儀良く 身動きすることも自由にしない妻だから 源氏は山の二日間に興味を持ち 話し合える人なら深く愛せられるが いつまでも打ち解けず他人行儀で 月日を重ねるに連れてこの傾向が ますます目立っていくばかりだな と思うと心苦しい
『たまには普通の夫婦らしくして下さい ひどく病気で苦しんだから そんな時はどうなのかぐらい聞いてくれてもいいのに 貴方はしない 今にはじまったことではないけど 私は恨めしいですよ』と言った 「尋ねないのは苦しいことなのでしょうか」と言って横目に源氏を 見た 目元は恥ずかしそうで また気高い美が備わった美貌である
さくら猫にゃん
今日のはどう?
|