さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月27日(金) にゃん氏物語 若紫11

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫11

『たまに何かいってくれたなと思ったらそれだ 情けないじゃないか
尋ねないのは などと他人行儀なのは 夫婦の間柄と思えない
一般的な言い方をしてはいけない 時が経てば貴方は私を軽蔑する
だろうから こうすれば考え直して こうしたら打ち解けるかな
などと私は努力する でも貴方はよそよそしくなる まあ仕方がない
長い人生を送れば わかってもらえるでしょう』と言い源氏は寝室へ
しかし 夫人はそのまま座っている 寝ようと誘っても聞かない人を
ほっといて 溜息しながら源氏が横になっていたのは夫人を誘うのに
手間をかけたくなかったのだろう 眠そうなふりで物思いにふける

若草と祖母に例えられた 兵部卿の宮の王女様がヒロインの未来の
物語が いろいろ想い描かれる まだ年が釣合わないと思われたのも
その通りである 積極的にはできない それでも何とかして迎えて
あの子を物思いの慰めにながめたい 兵部卿の宮は上品で艶な顔で
あるが華やかな美しさはない どうして 似ているのだろう
宮と藤壺の宮は同じお后から生まれているからだろうか
など考えているだけで あの子と恋しい人との血縁の深さが嬉しくて
ぜひ自分の思い通りにしなければと 源氏は思った

源氏は 次の日 北山に手紙を送った 僧都に書いたものにも女王の
事について書かれているが 尼君に送ったのを紹介すると 問題に
取り上げてもらえなかった貴方様に気を使い 思っている事を全て
言えませんでした これを言うだけでも並々ならぬ覚悟の気持ちを
受けとってもらえたら嬉しいなどと書かれ 小さく結んだ手紙もある

面かげは身をも離れず山ざくら心の限りとめてこしかど
…山桜の美しい幻は私の身体から離れません 私の心の全てを
そちらに残してきたのですが…どんな風が私の忘れることのできない
さくらに吹きつけるかもしれないと想うと気掛かりです
内容はこうでした 源氏の字を美しく思う それにまして老人たちは
手紙の包み方にさえも感心していた 尼君は困った こんな問題は
どのように返事すればいいのだろうと当惑する

あの時の話は 遠い未来お話ですから今は何も言えないと解かって
いるはずながら またお手紙で頂きまして恐れ入ります
まだ手習いの難波津の歌さえも 間を置かず書けない子供ですから
失礼でしょうが 許してください それにしても

嵐吹く尾上のさくら散らぬ間を心とめけるほどのはかなさ
嵐が吹き散らす峰のさくらに 散るまでに気持ちを寄せられただけ
と思われて あてになりません…かえって頼りないです
というのが 尼君からの返辞でした 僧都からの手紙も同じようで
源氏は残念に思う 二〜三日経って惟光を北山に行かせる
『少納言の乳母という人がいるはずだから その人に逢い詳しく
私の気持ちを伝えて来てくれ』などと源氏は命じる

どんな女性にも興味を持つ人だ 姫君はまだ幼稚であったと思うが
と惟光は思った 真正面から見てないが一緒に覗いた事を思い出す


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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