さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月29日(日) |
にゃん氏物語 若紫13 |
光にゃん氏訳 源氏物語 若紫13
源氏の恋の気持ちのかけらも伝える時間がない 永遠の夜が欲しいのに 逢えない時より辛い 別れの時が来た
見てもまた逢ふ夜稀なる夢の中にやがてまぎるるわが身ともがな 逢ってもまた逢うことが難しい夢のような世の中だから 夢の中で あっても入りこんで 融けてしまえばいい
涙にむせ返って言う源氏の様子をみて 宮も悲しくなって
世語りに人やつたへん類ひなく憂き身をさめぬ夢になしても 世間の語りぐさに人が語り伝えるでしょう このように辛い私の 身の上を…それが 覚めることのない夢の話だとしても と言う 宮が悩み苦しむのもあたりまえで 恋に目のくらんだ源氏にも 勿体無い事と見えた 源氏の上着などは王命婦が かき集め寝室の外へ 持って来た源氏は二条の院へ帰り泣いて一日を過ごす 手紙を出しても 例の態度で御覧にならないと王命婦の返辞だけしかもらえず とても がっかりする 源氏は御所にも出ず二〜三日閉じこもる これをまた 帝が病気と心配するだろうと思うと もったいなく空恐ろしい事と思う
宮も自分の運命を嘆いて悩み苦しみ それで病気の経過もよくなかった 宮中の使いがしきりに来て御所に帰るよう言われるが 未だ実家にいた 宮は実際に体の調子が悪くて その調子悪さの中に生理的現象がある それを 宮自身が思い当たらない事だということは なかったのです 情けない事に これで自分は子供を産むのかと悩み苦しんでいた
夏の暑い間は起きることもできず寝たきりであった 妊娠三ヶ月になり 女房達も気がついてきた 宿命の恐ろしさを宮は思っても 他人には 分からない事だから こんなに月日を重ねるまで帝に報告しなかったと 聞いて 皆意外な事と思い声をひそめて話し合う 宮の入浴の世話など している宮の乳母の娘の弁や王命婦は変だと思うが 互いに話し合う事 ではなかった 命婦は人がどうやっても避けられない宿命に驚いていた
宮中へは病気や物の怪の影響で気づくのが遅れたと報告したのだろう 誰もがそう思っていた 帝はよりいっそう宮へ熱愛を寄せる それで 前よりお使いがひっきりなしに来るのも宮にとって空恐ろしく思われた
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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