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鏡。 - 2004年12月23日(木) 私は夢を見ていたのかも知れない。 独りでいる時間のほうが長かった。 彼の仕事は忙しかったし 仕事柄夜も家をあけることも 少なくない。 国内外をとわず 学会に出かけ 数日家を留守にすることも 珍しいことではないし 私自身 そんな生活にも慣れっこだった。 子供もいなかったし 家計にも余裕があったから 習い事だけでなく 友達とも出かけたし 美容にもお金をかけた。 彼が長期に家を留守にするときは 私もといって 独りで東京に数日間ホテルに泊まりにもでかけた。 東京では 独りを楽しんだ。 独りきりで部屋をとり 東京にいる知人とあって 食事をしたり ホテルにあるサロンで全身エステをうけたりもした。 そんなことは珍しいことでもなかったし 別に普通のことだった。 妊娠して いろんなことに規制が生まれた。 定期的に通ってるエステも 電流を使う為に妊婦には不向きであるし 化粧品もレチノールを使うものは 極力さけた。 ハイヒールは履けなくなったし スレンダーなワンピースは お腹の膨らみを余計に大きく見せた。 長時間の外出は とても疲れるようになってしまったし いつの間にかついてしまっていた太腿の裏側のみっともない脂肪も 今は減らす術もなく 甘んじて受け入れるしかない。 ほんの少しだけの辛抱と 思っていたけれど 出産して 私はその今までの生活を取り戻せるのかというと 改めて考えるとやはりとっても疑問なことで 独りで旅行にでかけることも ボディの矯正にいくことも フェイシャルを受ける為のたった2時間半すら 私には もう持てない時間なのかもしれない。 結局私は何処に着地しなければいけないのか わからなくなってしまって 泣きそうになった。 昨日 友達と出かけたブルガリで ふと鏡に映った自分の顔に どことなく疲労の色を感じて目をそらした。 私はどんどん 色褪せていくんだ。 後ろを振り返ると 拒食症の彼女のみっともない後ろ姿と 消えない脂肪のついた太腿を持つ私の後ろ姿が 大きな鏡に映し出されて なんとも言えない気分になった。 「病んでる」 と 心の中でつぶやいてた。 ...
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