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現在と過去と未来と。 - 2005年08月12日(金) 出かける前 ぐずる彼女をベッドに置き去りにしたまま 私は隣の鏡台で化粧を始める。 彼女は自分のベッドで 決して寝ようとしないから ベビーベッドは只の飾りに成り果て 私達のベッドで 一緒に眠る。 鏡台の椅子に腰かけながら彼女を眺めると 不安そうな目で私をじっと見つめている。 私は 優しく もうちょっとまってねと 声をかけ 支度を続けるのだ。 私にとって それは現在である。 私は身支度を整えながら 彼女を眺め彼女について 考えるのだけれど 彼女がいつか 私のことを思う時 いま このときは 彼女にとって遠い過去の想い出となる。 同じ時を 同時に過ごしているのに おかしなものだな と思う。 私が母の話を聞いて 過去のある時点を思う時 母は 過去の今をもう一度追体験する。 若かった過去の今を。 私と彼女は 同じ時を過ごす事ができない。 彼女の現在は 未来にあるからだ。 とてもそれは 私にとっては淋しいことだけれど いつか私を思い出す時 私は彼女の中で 優しくあたたかな母でありたいと思う。 だから私は 今を頑張ろうと思う。 優しくあたたかな思い出は 彼女を幸せにすると 信じているから。 私も 私の母も 恩着せがましく話をできない性格だから こんなことをしてあげたなどとは 母もいわなかったし 私もきっと 言えないだろうと思う。 だけど 何かのきっかけで 小さな片鱗が フラッシュバックするときに 漠然としたやわらかな空気だけでも伝わればよいなと願う。 今日 幼馴染みの友達から電話をもらった。 彼女はニ児の母であるのに 私が出産したことに 胸が詰まったと言ってくれた。 同じ苦しみを私が経験したことに胸を痛めてくれた。 出産なんて 誰でもすることなのだけれど 自分の親しい人が やはり出産を迎えると思うと 私も今なら なんとも言えず胸が痛む気がする。 喜ばしい事だけれども とても苦痛をともなう事だから。 女の愛情というのは本当に深いものだと思う。 こんな苦痛をも愛情の為に耐えてしまうのだから。 出産は こんな私でも こんなにも深く誰かを愛せると言う事を気付かせてくれた。 私自身が生まれ変わった気がする。 ...
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