華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2002年07月22日(月) 怒りと決別の遊戯。 『やり手』 |
女性の社会進出が本格的になってから、しばらく経つ。 未だに女性への風当たりは若干あるものの、女性の管理職も見られるようになった。 男がだらしないのも一理あるが、個人の力量に性別は関係ないと思う。 女性の視点というのは、時々感心させられる。 しかし感情的になり過ぎ、物事の本質を見失うこともある。 男と女で成り立つ社会。 両方が活躍できるのが、きっと理想だと思う。 ただ女だけが飛び抜けるのも問題だ。 テレコミで出会った、三重県四日市市の主婦と仲良くなった。 聡明な話し方と声が好印象だ。 そして次々と繰り出す話題も豊富で、会話も否応なく盛り上がる。 話を聞くと、仕事もこなしているのだという。 八面六臂に活躍するやり手の女性か。 名前を美砂(仮名)といった。 32歳の保険外交員。 業界第2位の生命保険会社に勤務している。 優しい旦那と結婚して7年、幼稚園に通う娘が1人いる。 どこか寂しげな主婦が、自分の心の隙間を埋めるために電話するのは理解できる。 だが彼女のようなやり手の彼女がなぜテレコミに掛けてくるのか? そんな疑問をぶつけてみた。 「寂しいわよ。だって旦那は私の相手をしてくれないんだよ」 「どういう相手?」 「夫婦だもん、話を聞いて欲しい時もあれば、抱いて欲しい時だってあるじゃない」 「そうだね。旦那さんはどんな人?」 「普通のしがないサラリーマンよ」 聞いてみると、美砂は旦那よりも稼ぎがいいそうだ。 「私ね、うちの支店でトップなのよ。だって誰にも負けたくないじゃん」 「ははぁ、そういうことかぁ・・・・」 男とは繊細な生き物で、女性より優れていたいもの。 そして、どこかで女性に尊敬されていたいものなのだ。 それが自分の家庭であれば、尚更の事。 自分よりも嫁のほうが稼ぎがいいのであれば、旦那が怖気づく気持ちも分かる。 男とは、そういう部分では繊細なのだ。 美砂のどこか高圧的な話し方も、自分への自信の表れなのか。 家庭の中心は私だと言わんばかりの言い方をする。 「旦那の方から何時しか寝室を出て行かれて・・・」 「何も無いの?」 「うふふふっ、そんなわけ無いじゃない」 「どういうこと?」 「いるわよ、彼くらいは・・・」 現在、24歳のセックスフレンドがいるという。 週1〜2回、夜に情事を楽しんでいるそうだ。 「旦那さん、何も言わないの?」 「私のやることには口出ししないわよ、大人しく寝てるし」 「じゃ、やり放題だなぁ」 「でもね、誰でもいい訳じゃないからね」 性に奔放な女性は、誰でもいい訳じゃない・・・となぜか同じ事を言う。 「うらやましいねぇ、その男。美砂さんと俺もそんな付き合いがしたいなぁ」 「何、平良君はいないの?彼女は」 「いないんだ・・・別れたばかりでさ」 「なんだぁ、もったいない」 当時26歳の俺は、付き合っていた女性と別れたばかりだった。 欲望と体力を持て余し、『女なら誰でもいい』時期を、 男なら誰もが一度や二度は経験あるだろう。 そういう時期に差し掛かっていたのだ。 「じゃ、Hはどうしているの?」 「う〜ん、こういう所で電話でしたりする・・・そのくらいかな」 「電話でしちゃうの?いやらしいんだからぁ」 「だって、道を歩いている女性に頼むわけにはいかないし」 「どうやってするの?」 「美砂さんはしたこと無いの?」 「あるっちゃあるけど・・・平良君の話が聞きたいな」 年下の男をからかう口調の美砂。 その話し方からして、結構年下の男に慣れている様子だ。 「こういう電話って初めてだから、すごく緊張しちゃうもんだね」 「でも、相当遊んでいるって言ってたじゃん」 「だからって、男が変われば・・・初めても同然よ」 「いやいや、これからは師匠と呼ばせていただきますよ(笑)」 美砂との時間はあっという間に過ぎていく。 頭の回転の良い女性だった。話題に事欠かさない。 そしてどんな話題にも返答をし、向こうからも返してくる。 その時は夜の会話らしく、話題はあられもない方向へと向かう。 「ね、電話でHしたい?」 「俺?当たり前じゃん・・・美砂さんがその気になれば、俺始めちゃう・・・」 「私ね、そういう気分じゃないんだ・・・」 「そうか・・・残念っ」 「・・・電話じゃ嫌だって言ってるの・・・分かる?」 「どういう意味?」 耳に吐息が掛かり、くすぐったくなるような甘い声で囁く。 言いたい事は分かっていても、自分で言うのは何か負けた気がする。 美砂の口からその真相を語ってほしい。 「俺、はっきり言ってくれる人、好きなんだな」 「もう・・・平良君と、本当に会って、したいな・・・ってこと。興味あるの」 年下の男の子を虜にし続ける悪女は、こういう語りで誘惑するご様子だ。 「俺は今からでも良いんだけど(笑)。でも遠いだろ?」 「大丈夫よ、東名阪道で名古屋まで出て、そこからそう時間掛からないよね?」 俺の住む街にも、仕事の関係上出張する事もあるそうで、 女性には珍しく車の運転にも不安はないそうだ。 夜に高速道路まで使って男に会いに行く・・・そんな行動力のある女性も珍しい。 「でも、今夜は我慢して。もう午前様だし」 「いつならいいの?それまで俺、我慢して待ってようかな(笑)」 「そうね・・・仕事の都合もあるから、次回の電話で決めましょう」 「そうだね、次の楽しみが出来たよ」 見事なコンティニューで、次に電話せざるを得ない状況となった。 さすがは支店トップの外交員だ。 1週間後。 前回と同様に時間にテレコミに電話し、指名をかける。 数分後にコレクトコール。 「何時頃なら、美砂さん大丈夫?」 「そうだなぁ・・・明後日の夜はどう?」 今夜が土曜日なので・・・月曜日か。 「いいの?そんな平日の夜で」 「構わないよ、私なら。丁度生理前だし」 「・・・生理前ってどうなの?」 「なんだ、平良君知らないんだぁ・・・生理前の女って、淫らなのよ・・・」 当時の俺は生理のサイクルで女性の性欲までが移り変わるものだと思わなかった。 美砂の囁きに、またしても過敏な性欲を刺激される。 俺はすぐにバイクで四日市へ飛び出したくなる衝動を覚える。 「淫ら・・・か」 「そう。教えてあげたいな・・・女を」 「俺もね・・・美砂さんをもっと知りたいよ」 「そういう素直な子って好きだな・・・もう濡れてるかな、私」 「もう?」 「だって、今も生理前よ・・・」 「今からでも、会いに行って美砂さんを抱き締めたいな」 「そんな、平良君の声で言われたら・・・我慢できなくなるじゃない」 美砂は、艶やかな俺の声が好きだという。 俺の声は女性の誰からも誉められる、俺の唯一の売り。 今から思えば、露骨過ぎるほど誉めてくれた。 男を盛り立て、やる気にさせるのは、女からの賞賛なのかも知れない。 「いいよ、明後日の夜だな。空けとくよ」 「良かった・・・浮気しちゃだめよ。他の女にも、自分の手でも」 「自分の手?」 「そう。あなたの感じる所を一番知ってるでしょ?・・・私にとっては浮気なの」 「面白い例えをするね」 「だって、負けたくないもの。私が一番でありたいの」 「分かった。我慢するよ」 「楽しみだなぁ。明後日の夜・・・」 オナニーすら許さない、という美砂。 それだけ自信を持っているのだろうか。 面白い女だ。 <以下次号> |
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