華のエレヂィ。~elegy of various women ~
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2003年02月14日(金)

たわわに実る水蜜桃。 ~お利口さん~


<前号より続く>




ルミは身長はおそらく165cmはあるだろう。
たわわに実る水蜜桃のような豊乳以外はスレンダーな身体だ。

男の劣情を刺激してやまない格好で草臥れるルミを見て、俺自身がいきり勃つ。

俺は彼女の耳元で囁いてみた。


「これで欲しくなった?」
 「・・・でも・・・でもダメ」

「あれ?さっきと言っている事が違うなぁ」
 「・・・初めての人はダメなのぉ、今度指名してくれたら・・・ね」

「商売上手だね(笑)」
 「それから・・・お小遣いが欲しいな」

「・・・幾ら?」
 「・・・2つ」

「2つ(2万円)かぁ、高いね」
 「借金があるから・・・でもその分・・・楽しませてあげるから」


いつもは俺の目を見て話をしていたルミだったが、
この時だけ天井をじっと見上げて、決して俺の方を見なかった。

ルミとはその後も交渉してみたが、この二つの条件は最後まで曲げなかった。

感情的にこじれてトラブルになるのも嫌なので、俺は69でフィニッシュをと頼んだ。


重たそうな身体を起こしたルミは仰向けに寝る俺の顔面を跨いだ。
ルミ自身が俺の顔面の目の前に迫る。

先ほどの刺激でふっくらとゆるみ、白っぽい蜜で潤っている。


 「私ね、舐められるのが弱いの・・・イキそうになったら舐めるの止めてね・・・」


でないと、俺自身へのサービスが出来なくなるからだそうだ。
攻め好きの俺としては願ってもない。

ルミが口と手で俺自身を攻め出す。
俺はまずルミ自身に再びスイッチを入れたローターを充てた。


ギュッと腰を引き、俺自身を攻める手を休めてルミが悲鳴に似た喘ぎ声を上げた。
この感度は本物だろうか。

そのまま攻め続けると、今度は痙攣気味に尻全体が微動し出した。


潤うルミ自身に右手中指を差し入れて指を曲げ、
爪を立てないように手前に引き寄せる。

右手ではローターを持ち、左手の指で中を攻める。

そうしてピストンをするうちに、強い抵抗を感じた。
ルミ自身が強烈に締まっている。


 「すごいの、感じるぅ・・・」
「イキそうになったら、すぐに言ってね」

 「ダメ、ダメ~~~ッ・・・ああ、ああああっ」


俺の胸から下が重くなる。
脱力したルミの体重が、汗で湿った肌が心地良い。

そして間もなく俺も無事にフィニッシュを迎える。

間もなく、時間を知らせるタイマーが鳴り出した。
何時になく充実した時間だった。



プレイ後のシャワーで、ルミはボディシャンプーを差し出す。


 「ローション使ったから・・・だからこれでしっかりと洗い落としてね」
「ああ、ありがとう」


ルミは首筋から胸、腹、そして股間の奥までしっかりと洗い込んでいた。
そして残っていた湯船の湯に浸かる。

洗い終わった俺も一緒に浸かった。


「凄いテクニックだったねぇ・・・本当にイキそうだったよ」
 「いろんな娘にいろいろ教えてもらったからね。面白かったよ(笑)」

「結婚したら最強の花嫁道具だぜ、ありゃ」
 「だって借金まみれなのに(笑)相手も逃げ出すわよっ」


俺とルミの笑い声が密室のバスルームにこだまする。


 「ね、お客さんは、うちの店は始めてなの?」 
「いや、以前に一度ついてもらったことがあるよ」

 「前は誰だった?」
「ユキエちゃん。分かる?」


他愛もない会話から、俺は気になっていたユキエの様子を聞いてみた。
ルミの表情が曇る。


 「ああ~、あの娘ね。・・・居るね」
「冷たい言い方だねぇ」

 「だって挨拶しても答えないし、苦情が多くても誰からも叱られないし」
「そうかぁ・・・あの娘なら仕方ないのかなぁ?」


半年前のユキエの様子が思い浮かぶ。

たおやかな黒髪で、まだ幼さの残っていた彼女。
何も店の事を理解しておらず、俺が店へと電話させた彼女。
カラオケが趣味で、本当は歌手に成りたったと語った彼女。
帰る家が無いからとデリへルの事務所に寝泊りしていた彼女。


 「一番最初に出勤してきて、一番最後まで店に居るの。それも休まないし」
「仕事熱心・・・ってな感じ?」

 「違う。何事にも気持ちが無いの、あの娘・・・」


ルミはユキエを毛嫌いしている様だ。
懸命に自分の感情を殺して話す様子が見て取れる。


 「おかしいんだよね・・・何でもオーナーが必ずフォローしてるし」
「嫌いなんだ(笑)」

 「・・・いい娘だよ、きっとお客さんの前では、ね(笑)」


怠惰だったユキエと、サービスが完成されたルミ。
まさに正反対のキャラクターだった。

流れるような所作、男を虜にする明朗なキャラ、そしてテクニック・・・
ルミは完全にプロフェッショナルとして、この仕事に従事している。

だからこそ、ユキエのような自意識の無い怠惰な女が許せないのだろう。

思えば、ルミが素の感情を見せた初めての瞬間だったのかもしれない。



帰り際。
下りのエレベーターが上昇してくるのを待ちながら、俺はルミに話し掛けた。


「まだこの仕事続けるんだ?」
 「うん、まだ借金だってあるし」

「あと幾らくらい?」
 「あと740万円(笑)。貯金もしたいからあと3年は頑張る(笑)」

「じゃ、また指名する事もあるね」
 「お願いねっ、今度は構わないから、さ」

「何を?」
 「もう、言わせるのっ?(笑)・・・お小遣いくれたら最後まで良いよって事」

「それはまた、何で?」
 「だって優しそうな人だし、警察の人じゃなさそうだし(笑)」

「警察ねぇ・・・」
 「だって、決まりだからって守ってばかりじゃお金は儲からないよ」


ルミはそうキッパリと断言した。


「割り切っているんだねぇ」
 「私は誰にも頼れないんだし、『お利口さん』じゃなきゃ生きていけないから」


デリヘルでの本番は、当然売春行為となり法律違反になる。

しかし一部では公然の秘密状態で行われているのも、また事実だ。


当然、彼女達は好きで身体を売るはずが無い。
なにかしら理由があるのだ。

デリヘル嬢を買う男や店ばかりを取り締まっても、根絶やしには出来ない。


風俗の世界に身を投じる女達の大きな理由の一つは「借金の返済」だ。

もっと違う場所にある本当の原因を取り締まらない限り、
支持率稼ぎで成立したような浅はかな法律などでは、
彼女のような『犠牲者』は決して救えない。


「お利口さん」なんて言葉を使ったルミだが、
彼女は決して賢い方法で金儲けをしている訳ではない。

しかしルミはこういう生き方を選んだ。
どんな思いをして、女がこういう蔑まれる生活を選んだのか。

少なくとも、彼女は自ら喜んで行動しているわけではなかろう。

心を痛めているのをひた隠して身体を売っている風俗嬢は多い。

同情ではない。
人に誇れるような仕事でもない。
しかし深い理由も知らず、風俗嬢だからと簡単に女を蔑む事など俺には出来ない。


名実共に恵まれた、裕福な生活しか知らない子女が集う永田町では
きっと誰も理解出来ない生活なのだろう。



1階のエントランス。

ルミは俺に再会した時の「本番」を約束し、迎えの黒いセダンに乗り込んだ。
タイヤを鳴らして乱暴に発進するセダンを、俺は見えなくなるまで見送った。
この生活を選んだルミの健闘を心から祈りながら・・・


俺も自分の車に戻り、エンジンを掛ける。

聞いていたFMからは、賑やかなジングルと共に、午後11時の時報が鳴る。


ルミの悲壮な覚悟にショックを受けつつも、俺はある感情を抑え切れずにいた。


あの娘・・・ユキエにやっぱりもう一度逢ってみたい。
半年前のあの娘、今はどういう風に変わったのだろう。



俺はホテルの駐車場から再び店に電話した。


「今夜、ユキエちゃんは出勤でしょうか?」
 「はい、出勤しております」




<以下次号>







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自分で鼓動が聞こえるくらい、胸が高鳴った。


「先ほどの者ですけど・・・お願いできますか?」


こちらから携帯の電話番号を通知しているので、俺が先ほどのルミの客だと
店の方でも判っている。


 「は?・・・先ほどのルミちゃんではご不満でしたか?」
「いや、そういう訳では無いんですが・・・」

 「では確認しますので、少々お待ちください」


保留中を示す無機質な音のオルゴールが鳴る。


 「はい、大丈夫ですので・・・5分ほどで向かいます」
「じゃお願いします」



一日で二人のデリヘル嬢を呼ぶ。
おそらく俺の人生でも最も馬鹿げた無駄遣いだ。

でも、どうしても俺はあの娘に会いたい。



俺は薄暗い街頭だけになった球場横の脇道に車を停めた。

向こうからミニバンが走ってきて、俺の車の脇で停まる。
そこから一人の女が降り、気だるそうな足取りで俺の車へ向かって来た。

正しく、半年前のあの娘だ。



<『 続・18歳 ~ユキエ再び~ 』に続く>




☆ 毎度のご訪問&ご高覧ありがとうございます。
  今回は基本に立ち返り、デリヘル嬢とのエレヂィをお届けしました。


  ルミは本当に生真面目で健気な娘でした。
  それが普段の立ち振る舞いにも、プレイにも表れていました。
  
  だからこそ自分で全てを受け止めてしまい、自分の身体を売る決意をしたのです。

  分かれた旦那も辛いだろうけど、自分の元嫁のこの行為を
  どういう思いでうけとめるのでしょう。


  次回は再び18歳の風俗嬢・ユキエが登場します。
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